概要
Data.govは米国政府が提供するオープンソースデータで、農業、教育、財政、健康、科学などに及ぶ広範な興味深い情報を多数提供しています。現在、20万以上のデータセットがリスト化されています。
5 Minute Analysisでは、Data.govの消費者データのカテゴリーから「Financial Services Consumer Complaint Database(金融サービスに関する消費者苦情データベース)」をピックアップしました。これらのデータセットは消費者金融保護局(CFPB: Consumer Financial Protection Bureau)が提供するもので、多数の企業が提供する様々な金融商品/サービスに関してCFPBに寄せられた消費者の苦情の記録です。
CSV形式で120万行以上からなり、約700Mバイトです。データの読み込みは非常に簡単で、PivotBillionsのドラッグ&ドロップ機能を用いてクラウドベースのデモポータルにデータをアップロードするだけです。
データ解析
これらのデータ解析で見出された一般的な傾向は以下のようになりました。
2011年に消費者金融保護局が設立されて以来、苦情は年々増加しています。
この間、苦情が多かった金融商品/サービスは以下のとおりです。
住宅ローン、債権回収、そして信用調査は、他の金融商品/サービスよりも圧倒的に苦情が多いことが分かります。
苦情が多い企業の上位には、信用調査会社と銀行の大手が挙がっています。
苦情が多い州のトップ5は、カリフォルニア州、フロリダ州、テキサス州、ニューヨーク州、そして意外にもジョージア州です。ジョージア州の人口は米国で8番目ですが、より人口が多いイリノイ州よりもなぜか件数が多くなっています。
苦情の受付はMailや電話などいくつか窓口がありますが、他の方法をはるかに上回るのがオンライン(Web経由)からの受付です
金融商品/サービスの種類別では、住宅ローン関連の苦情は減少していますが、債権回収と信用調査についての苦情が著しく増加していることが分かります。
まとめ
データ解析を通じて、どのような洞察を得ることができたのでしょうか。ローンの変更や差し押さえの回避を試みる消費者との摩擦は依然として残っていますが、住宅ローンに関する苦情の減少は、2007~2008年のサブプライム住宅ローン危機から、金融マーケットが着実に回復していることを示しているように見えます。
しかし、債権回収に関する苦情の上昇が緩やかであるということは、消費者がより多くのクレジットカードやローンの債務を負い、デフォルト率(債務不履行に陥ってしまう比率)が上昇している可能性も考えられます。苦情の増加が最も著しいのは信用調査/信用保証サービスです。2017年9月の急増は主に米国消費者信用情報会社のEquifax社における情報漏洩の発表によるものですが、それ以前についても、消費者信用調査報告書に記載された情報の取り扱いに関する信用調査機関への苦情が徐々に増えていたようです。
データをより深く掘り下げることでより多くの知見を得ることができますが、それはまた別の機会に試みたいと思います。現在、ここで紹介したデータセットは当社の公開デモポータルを通じて誰でも利用することができます。どのような洞察が得られるかをご自身で確認してみてください。